塾講師の面接|第二新卒が聞かれる想定問答12と模擬授業で見られること【2026年版】
塾講師の面接で第二新卒がよく口にするのは「子どもに教えるのが好きです」「勉強が得意でした」という言葉です。どちらも大切ですが、正社員の塾講師の面接では、それだけでは評価が止まります。
正社員の塾講師は、授業をするだけでなく、生徒の成績と通塾の継続に責任を持ち、保護者と信頼関係を作り、教室の生徒を増やすことまで担うことが多い仕事です。面接官が確かめたいのは、相手の理解度に合わせて教えられ、保護者とも誠実に話せ、数字にも向き合える人かどうかです。
この記事では、一次・二次・最終で見られている点を分け、想定問答12とそのまま使える答え方を整理します。
1. 結論:面接は3つの軸で採点されている
| 軸 | 見られていること | 答えに入れるもの |
|---|---|---|
| 相手に合わせて教える力 | 理解度を確かめながら説明できるか | 教え方を変えた経験 |
| 保護者との信頼 | 成績や悩みを誠実に伝えられるか | 伝えにくいことを伝えた経験 |
| 数字への向き合い方 | 成績、継続、生徒募集を意識できるか | 目標に向けて動いた経験 |
3番目を準備してくる応募者はほとんどいません。塾は、生徒が通い続け、新しい生徒が入ってくることで成り立っています。「生徒が辞めないために何をするか」まで話せる人は、それだけで一段上に見られます。
2. まず押さえる:アルバイト講師と正社員の違い
| 項目 | アルバイト講師 | 正社員(教室運営を含む) |
|---|---|---|
| 主な仕事 | 授業と質問対応 | 授業、面談、教室の運営、生徒募集 |
| 相手 | 生徒 | 生徒、保護者、アルバイト講師 |
| 責任の範囲 | 担当の授業 | 教室の成績と生徒数 |
| 働く時間 | 授業の時間帯 | 昼から夜、季節の講習期は長くなる |
「授業だけに集中したい」と言うと、正社員の仕事の範囲を理解していないと受け取られます。応募先の求人が授業中心か、教室の運営まで含むかを確かめてから答えてください。塾から他の業界に移る場合の考え方は塾講師から転職|第二新卒が説明する力を職務経歴書に翻訳する5ステップにまとめています。
3. 一次面接(教室長・人事)で聞かれる5問
| # | 質問 | 確かめられていること |
|---|---|---|
| 1 | なぜ塾講師なのか | 職種の理解 |
| 2 | 人に教えて理解してもらえた経験 | 相手に合わせる力 |
| 3 | 教えられる科目と学年 | 担当の見込み |
| 4 | 夜の勤務や講習期の忙しさは大丈夫か | 働き方の理解 |
| 5 | 勉強が苦手な生徒にどう接するか | 姿勢 |
1番目の答え方
「子どもが好きだから」だけでは足りません。教え方を変えて相手が分かるようになった経験を置いてください。
「前職の職場で、新人に仕事の手順を教える役割を担っていました。最初は手順を全部説明していましたが、覚えられない人が多かったため、一つずつやってもらいながら、つまずいたところだけ説明する形に変えました。すると覚える速さが大きく変わりました。相手に合わせて教え方を変えることにやりがいを感じ、それを仕事の中心にしたいと考えて塾講師を志望しました」
2番目の答え方
「どこでつまずいているかを確かめた」話を中心にします。
「学生時代に家庭教師をしていた生徒が、方程式の文章題が解けずに困っていました。解き方を説明する前に、問題文を自分の言葉で言い直してもらったところ、計算ではなく文章を式に直すところでつまずいていると分かりました。その部分だけを繰り返し練習したことで、次のテストで点数が上がりました」
「説明する前に、つまずきの場所を確かめた」が評価点です。説明の上手さより、相手の理解を確かめる習慣のほうが、塾の現場では重く見られます。
5番目の答え方
「まず、できたところを具体的に認めることから始めます。そのうえで、一つ前の単元に戻って、確実に解ける問題から積み上げます。分からないと言えない生徒もいるので、こちらから問題を解いてもらって、どこで手が止まるかを見るようにします」
「分からないと言えない生徒もいる」という視点を持っている人は、生徒から信頼されます。
4. 二次面接(エリア責任者)で聞かれる4問
| # | 質問 | 確かめられていること |
|---|---|---|
| 6 | 保護者から成績が上がらないと言われたら | 保護者との信頼 |
| 7 | 生徒が辞めたいと言ってきたら | 継続への向き合い方 |
| 8 | 新しい生徒を増やすために何ができるか | 数字への向き合い方 |
| 9 | 模擬授業(その場で10分) | 教える力と姿勢 |
6番目は「現状と計画を正直に伝える」と答える
「必ず上げます」と約束するのは避けてください。
「まず、保護者の方のご心配を最後まで伺います。そのうえで、今の成績と、つまずいている単元、これまでの取り組みを正直にお伝えします。次のテストまでに何をするかの計画を具体的にお示しし、途中で進み具合をご連絡すると約束します。できないことを約束するより、できることを確実に行うほうが信頼につながると考えています」
「できないことは約束しない」と言えると、保護者対応を任せられる人だと伝わります。
7番目の答え方
「まず、辞めたい理由を生徒と保護者の両方から伺います。成績が上がらないのか、部活動との両立が難しいのか、人間関係なのかで、できることが変わるためです。授業の時間や内容を変えて解決できるなら提案し、それでも難しい場合は、本人の気持ちを尊重します」
9番目に備える
模擬授業では、上手に話すことより、次の点が見られています。
| 見られる点 | 気をつけること |
|---|---|
| 最初に目標を伝えるか | 「今日はここができるようになります」と言う |
| 生徒に問いかけるか | 説明の途中で必ず質問を入れる |
| 板書が整理されているか | 左から右、上から下に順番に書く |
| 声の大きさと速さ | 後ろの席まで届く声で、ゆっくり話す |
| 最後に確認するか | まとめと確認の問題で終える |
2番目の「問いかけ」を忘れる応募者が多くいます。一方的に説明するだけの授業は、生徒の理解を確かめていないと受け取られます。教育の業界の全体像は教育・EdTech業界へ転職|第二新卒が「教える」以外の職種を知るにまとめています。
5. 最終面接(役員・本部)で聞かれる3問
| # | 質問 | 確かめられていること |
|---|---|---|
| 10 | なぜ当社なのか | 塾ごとの違いの理解 |
| 11 | 教室の運営にも関わる意思はあるか | 仕事の幅への理解 |
| 12 | 数年後にどうなっていたいか | 定着と成長の見通し |
10番目:塾の形で答えが変わる
| 塾の形 | 特徴 | 志望理由の方向 |
|---|---|---|
| 集団指導の塾 | 一度に多くの生徒に授業をする | 授業の力で多くの生徒を伸ばしたい |
| 個別指導の塾 | 一人ひとりに合わせて教える | つまずきに寄り添いたい |
| 受験に特化した塾 | 志望校の合格が目標 | 結果に責任を持って伸ばしたい |
| 学校の補習が中心の塾 | 定期テストと日々の理解 | 勉強の苦手意識を減らしたい |
個別指導の塾で「大人数を前に話すのが得意」と言っても、強みとして噛み合いません。応募先の形を確かめ、その形に合った理由を一つ用意してください。
6. 面接前日の準備(70分)
| 時間 | やること | 狙い |
|---|---|---|
| 25分 | 模擬授業を10分で通して練習する | 9番目に備える |
| 15分 | 教え方を変えて相手が分かった経験を書く | 1番目と2番目に備える |
| 10分 | 保護者対応の答えを声に出す | 6番目に備える |
| 10分 | 応募先の塾の形と特徴を調べる | 10番目に備える |
| 10分 | 勤務時間と講習期の働き方について聞くことを決める | 4番目に備える |
1番目は、必ず時間を測って練習してください。本番は緊張で話が速くなりがちです。目標・説明・問いかけ・確認の流れを10分に収める練習をしておくと、落ち着いて進められます。
7. 落ちる回答の型5つ
| 型 | なぜ落ちるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 「子どもが好き」だけ | 仕事の中身が見えない | 教え方を変えた経験を話す |
| 「勉強が得意でした」だけ | 教える力とは別 | つまずきを確かめた経験を話す |
| 「成績は必ず上げます」 | 守れない約束をする印象 | 現状と計画を正直に伝えると言う |
| 「授業だけに集中したい」 | 正社員の範囲とずれる | 教室の運営にも前向きと伝える |
| 模擬授業で一方的に話す | 理解を確かめない印象 | 説明の途中で問いかける |
2番目は、学歴に自信がある人ほど言いがちです。自分が勉強できたことと、勉強が苦手な生徒に教えられることは別の力です。「自分がつまずかなかったところでつまずく生徒に、どう教えたか」を話せる人のほうが評価されます。
8. 未経験でも使える「塾講師に近い経験」
| 前職の経験 | 接続するところ | 話し方 |
|---|---|---|
| 新人への指導 | 相手に合わせて教える | 教え方を変えて覚えが早くなった経験 |
| 家庭教師・塾のアルバイト | 授業と成績 | つまずきを確かめて点数が上がった経験 |
| 接客・販売 | 相手の理解度に合わせた説明 | 説明を変えて伝わった経験 |
| 営業 | 保護者への説明に近い提案 | 相手の不安を聞いて提案した経験 |
| スポーツの指導 | 継続と動機づけ | 辞めそうな人を続けさせた経験 |
| コールセンター | 分かりやすい説明 | 説明の順番を変えて伝わった経験 |
意外に強いのが4番目です。営業で相手の不安を聞き取り、状況を正直に伝えて提案した経験は、保護者との面談にそのまま生きます。「お客様の不安を聞いて、できることとできないことを伝えた」は十分な材料になります。教員から移る場合は教員から民間企業へ転職|第二新卒が授業以外の経験を武器に変える5ステップも参考になります。
聞いておきたい3つ
- 「一日の勤務の流れを伺えますか」——働く時間が分かる
- 「講習期はどのような勤務になりますか」——忙しい時期が分かる
- 「教室長になるまでの一般的な流れはどのようなものですか」——その先の道が分かる
逆質問の作り方は面接の逆質問|第二新卒がそのまま使える30例と聞いてはいけない質問を参考にしてください。
9. よくある質問
教えた経験がなくても塾講師になれますか
未経験可の求人はあります。新人への指導や、接客で相手に合わせて説明した経験があれば、教える力の材料として話せます。入社後に研修を受けて授業の進め方を学ぶ形が一般的なので、学ぶ姿勢を伝えることが大切です。
学歴は重視されますか
受験に特化した塾では、担当する科目の学力を確かめる試験がある場合があります。ただし多くの塾では、学歴より、相手に合わせて教える力と、保護者と誠実に話せる力が重く見られます。求人票の応募条件を確かめてください。
勤務時間はどうなっていますか
生徒が学校を終えてから通うため、昼過ぎから夜までの勤務が一般的です。夏期や冬期の講習期は授業が増え、勤務が長くなることがあります。面接で一日の流れと講習期の働き方を確かめておくと、入社後のずれを防げます。
生徒募集の営業はありますか
教室の運営を担う正社員では、体験授業の案内や、地域での告知など、生徒を増やす取り組みに関わることが多いです。どこまで担当するかは塾によって違うため、面接で確かめてください。
模擬授業が不安です
上手に話すことより、目標を伝える、途中で問いかける、最後に確認する、という流れを守れるかが見られます。前日に時間を測って一度通して練習しておけば、緊張していても流れに沿って進められます。
塾講師から他の職種に移れますか
移れます。相手に合わせて説明する力、保護者と信頼関係を作る力、数字に向き合う経験は、営業や人事、教育関連の企画などで生かせます。塾から他の業界に移る人も多くいます。
個別指導と集団指導のどちらから始めるべきですか
一人ひとりのつまずきに寄り添いたいなら個別指導、授業の力で多くの生徒を伸ばしたいなら集団指導が合いやすいと言えます。未経験からは、個別指導で教え方の基礎を身につける人も多くいます。
前職を短期間で辞めていることは不利になりますか
理由を短く伝え、塾講師を選んだ理由とつながっていれば大きな不利にはなりにくいです。在籍期間の説明より、教え方を変えて相手が分かるようになった経験を具体的に話すことに時間を使ってください。
10. まとめ:前日にやる3つのこと
塾講師の面接で差がつくのは、教えることへの思いだけではなく相手に合わせて教える力・保護者と正直に話す姿勢・継続と生徒数への意識の3点です。
前日にやる3つのこと
① 模擬授業を「目標→説明→問いかけ→確認」の流れで10分に収めて練習する
② 教え方を変えて相手が分かるようになった経験を1つ書き出す
③ 保護者対応の答えを「聞く→現状を正直に→計画を示す」の順で声に出す
※ 「成績は必ず上げます」とは言わない。できることを確実に行うと話す
継続まで話せる応募者は多くありません。この準備だけで、教室を任せられる人として見られます。
この先、読むべき記事
- 塾講師の志望動機|未経験・第二新卒の例文5パターンと落ちる書き方(志望動機の作り方)
- 塾講師の自己PR|第二新卒の例文6パターンと教え方を変えた経験の書き方(書類の段階)
- 教育・EdTech業界へ転職|第二新卒が「教える」以外の職種を知る(業界の全体像)
- 塾講師から転職|第二新卒が説明する力を職務経歴書に翻訳する5ステップ(その先の道)
- 教員から民間企業へ転職|第二新卒が授業以外の経験を武器に変える5ステップ(近い職種)
- 面接の逆質問|第二新卒がそのまま使える30例と聞いてはいけない質問(逆質問の準備)
- 面接対策 職種別まとめ|第二新卒が自分の職種の想定問答を探す(他の職種の面接対策)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。1996年生まれ、神戸市出身。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、メディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。その後スタートアップに3人目の社員として参画し、現在は自分の会社を経営している。