フィールドセールスの志望動機|未経験・第二新卒の例文6パターンと落ちる書き方【2026年版】
〜「お客様に深く入り込んだ提案がしたい」と書くと、なぜ読み飛ばされるのか。例文6パターンを全文で置いておきます〜
フィールドセールス(FS)の志望動機で圧倒的に多いのが、この書き出しです。
「お客様の課題に深く入り込み、本質的な提案ができる営業になりたいと考えています」
言っていることは間違っていません。ただ、この文はフィールドセールスの志望動機として機能しません。理由は単純で、営業職の応募者のほぼ全員が同じことを書いているからです。読み手は「深く入り込む」「本質的な提案」という言葉を1日に何十回も見ています。
この記事では、未経験・第二新卒がフィールドセールスの志望動機を書くときに何を書けば読まれるのかを、例文6パターンの全文つきで整理します。前職が個人営業でも、店舗販売でも、インサイドセールスでも、非営業職でも、それぞれ書き方があります。
1. 結論:志望動機に入れる要素は3つだけ
250〜350字で十分です。入れるべきは次の3点だけです。
フィールドセールスの志望動機に入れる3要素
① 前職で「相手の状況によって進め方を変えた」具体的な場面(=商談を設計できるか)
② フィールドセールスを、インサイドセールスやテレアポと区別して理解していること(=なぜFSなのか)
③ その会社の商材・顧客の意思決定構造を見たうえでの理由(=なぜこの会社なのか)
未経験者が落とすのが②、差がつくのが③です。
書かなくていいものもはっきりしています。「傾聴力」「提案力」「粘り強さ」の3語は、書いても加点されません。全員が書いているためです。
2. なぜ「提案がしたい」が評価されないのか
2-1. フィールドセールスの実務は「提案」ではなく「意思決定の設計」
フィールドセールスの仕事を分解すると、こうなります。
| 工程 | 中身 | 評価される能力 |
|---|---|---|
| 商談準備 | 相手企業の状況を調べ、当日の到達点を決める | 仮説を立てる力 |
| ヒアリング | 課題・予算・決裁者・時期を構造的に聞く | 質問設計力 |
| 提案 | 聞いた内容に合わせて中身と見せ方を変える | 編集力 |
| クロージング | 社内の合意形成を、相手側で進めてもらう | 段取り力 |
未経験者の志望動機は「提案」の1工程にしか触れていないことがほとんどです。実際に選考で見られるのは、商談準備とクロージングの2工程です。ここに触れた志望動機は、それだけで上位に入ります。
2-2. 「受注できるか」ではなく「なぜ受注できたか説明できるか」
第二新卒の営業経験で、面接官が見ているのは達成率ではありません。成果の理由を説明できるかどうかです。
- ✕「目標達成率120%を3期連続で達成しました」
- ○「失注案件を振り返ったところ、初回訪問で決裁フローを聞けていない案件の失注率が明らかに高く、初回のヒアリング項目を3つ固定してから、受注までの期間が平均で2週間短くなりました」
前者は結果だけ、後者は再現できる形になっています。未経験からの転職では、後者しか評価されません。
2-3. インサイドセールスとの役割分担を理解しているか
分業体制のある企業では、必ずここを確認されます。
| 役割 | 責任範囲 | 追う数字 |
|---|---|---|
| インサイドセールス | 接点づくりから商談化の判断まで | 商談化数・商談化率 |
| フィールドセールス | 商談から受注、初期の引き渡しまで | 受注数・受注率・単価 |
| カスタマーサクセス | 契約後の定着と継続 | 継続率・利用率 |
「渡された商談をどう扱うか」に触れられると、分業体制の理解があると伝わります。「自分で新規開拓もやりたい」と書くのは、分業が進んだ企業ではむしろ噛み合いません。求人票を読んで、開拓も担うのか商談専任なのかを確認してください。
3. 実例:私が「準備」で結果を変えた場面
私は新卒で広告営業をしていました。2年目に、提案の中身ではなく準備の型を変えただけで数字が動いた経験があります。
入社2年目・秋の同行後
上司「今日の商談、悪くなかったけど決まらないよ」
私「反応は良かったと思うんですが……」
上司「反応が良いのと決まるのは別。今日、誰が決めるか聞いた?」
私「店長さんが決めるって最初に聞いてます」
上司「金額いくらだった?」
私「60万です」
上司「それ、店長の決裁範囲だと思う? 聞いてない金額の話をしても、決まらないよ」
そこから、初回訪問で必ず3つ聞くようにしました。「この規模の投資は誰が決めるか」「決めるまでにどんな手順があるか」「いつまでに決める必要があるか」。
聞くこと自体は10分で終わります。それだけで、受注までの期間が平均2週間短くなり、失注の理由が「検討中のまま消える」から「明確なNG」に変わりました。後者は次につながります。
このエピソードは志望動機の①として機能します。「頑張った話」ではなく「進め方を変えた話」だからです。
4. 例文6パターン(全文)
4-1. 前職:法人営業 → FS(同職種・環境を変える)
前職では中小企業向けに広告商材を扱い、新規開拓から契約まで担当していました。2年目に失注案件を振り返ったところ、初回訪問で決裁者と決裁フローを確認できていない案件の失注率が明らかに高いことがわかり、初回のヒアリング項目を「決裁者」「決裁手順」「期限」の3点に固定しました。結果として受注までの期間が平均2週間短縮し、検討のまま流れる案件が減りました。同じ営業でも、商材の単価と検討期間が長くなるほど、この段取りの精度が効いてくると考えています。貴社は導入検討に複数部門が関わると伺っており、前職で身につけた進め方をより難度の高い商談で試したいと考え志望しました。
4-2. 前職:インサイドセールス → FS(社内外での役割変更)
前職ではSaaS企業のインサイドセールスとして、月間40件前後の商談化を担当していました。フィールドセールスに渡した商談の受注率を自分で追ったところ、「課題は明確だが導入時期が未定」の商談だけ、受注率が他の半分以下であることがわかり、商談化の基準に「検討開始の社内トリガーがあるか」を追加しました。結果として渡した商談の受注率が改善しています。この過程で、受注の可否は商談の中身より、相手企業の社内事情で決まる場面が多いと感じるようになり、その社内事情に直接関わる側で経験を積みたいと考えました。貴社は◯◯という商材の性質上、導入判断に事業部門と管理部門の両方が関わると理解しており、その調整に取り組みたいと考えています。
4-3. 前職:店舗販売・個人営業 → FS(BtoCからBtoBへ)
前職ではアパレル店舗で接客販売を担当し、店舗売上と個人売上を追っていました。2年目に、購入に至ったお客様の来店動機を記録するようにしたところ、「特定の商品を見に来た人」の購入率が他の2倍とわかり、その層への声かけの順序を変えて個人売上を店舗内1位まで引き上げました。相手の状況を先に把握してから提案内容を変えるという進め方には手応えがありました。一方で、個人のお客様は決めるのが本人一人であるのに対し、法人では複数人が関わると理解しており、その難しさに取り組みたいと考えています。貴社は中堅企業が主な顧客と伺っており、社内で合意を作る過程に関われる点に惹かれました。
4-4. 前職:カスタマーサポート・CS → FS(契約前工程へ)
前職ではSaaSのカスタマーサポートで、月間約600件の問い合わせに対応していました。解約に至った顧客の履歴をさかのぼって確認したところ、導入時点で運用設計が固まっていなかった顧客ほど、半年以内の解約率が高いという傾向を見つけ、開通案内に運用設計のチェック項目を追加する改善を提案しました。この経験から、契約後にできることには限界があり、契約前にどこまで握れているかで結果が決まると考えるようになりました。フィールドセールスとして、導入前の段階で運用まで踏み込んだ合意を作る役割を担いたいと考えています。貴社は導入後の定着まで一気通貫で見る体制と伺っており、その考え方に共感しています。
4-5. 前職:事務・アシスタント → FS(未経験度が高いケース)
前職では営業アシスタントとして、営業5名分の見積作成と受注処理を担当していました。差し戻しが多く業務を圧迫していたため、1年分の差し戻し理由を集計し、上位3つで全体の7割を占めることを特定してチェックリストに落とし、差し戻しを月12件から3件に減らしました。この過程で受注案件と失注案件の書類を大量に見てきたことが、営業職を志望する出発点になっています。受注する案件は、初回の見積依頼の時点で条件が具体的であるという共通点があり、その具体化を担っているのが営業だと理解しました。貴社は◯◯業界向けで検討期間が長いと伺っており、条件を丁寧に詰める進め方が求められる点で、前職の経験を活かせると考えています。
4-6. 前職:ITエンジニア・技術職 → FS(技術営業寄り)
前職ではシステム開発会社で運用保守を担当し、クライアント3社の一次対応も兼務していました。仕様に関する問い合わせを機能別に分類したところ、マニュアルに記載のない操作についての質問が6割を占めていたため、非エンジニア向けの操作手順書を自作して配布し、該当の問い合わせを約半減させました。技術的な内容を、使う側の理解度に合わせて翻訳する作業に手応えがあり、その力を導入前の提案の場で使いたいと考えています。貴社の◯◯は導入判断に情報システム部門と事業部門の両方が関わると理解しており、相手の役割によって説明を切り替える必要がある点で、これまでの経験が直接つながると考え志望しました。
5. 志望動機を1時間で作る手順
5-1. 【20分】「進め方を変えた場面」を1つ掘る
次の3つに答えてください。
- 前職で、やり方を変えたら結果が変わった場面はどこか
- 変える前と後で、何を変えたのか(行動レベルで)
- 数字はどう動いたか(概算でよい/単位と比較対象を明記)
3つ埋まれば、それが志望動機のブロック①です。「頑張った」「工夫した」ではなく、変えた行動を動詞で書いてください。
5-2. 【20分】応募先の「意思決定構造」を調べる
| 見る場所 | 読み取ること |
|---|---|
| サービス紹介ページ | 誰が使い、誰が金を出す商材か |
| 導入事例2本 | 導入決定に誰が関わったか(登場人物の肩書き) |
| 料金ページ | 単価帯(=決裁の階層の深さ) |
| 求人票 | 商談専任か、開拓も含むか。平均単価・商談数の記載 |
導入事例に出てくる肩書き(情報システム部長・事業部マネージャー等)をメモしてください。ブロック③でその肩書きに触れると、調べた形跡が一気に出ます。
5-3. 【20分】3ブロックに流し込む
志望動機の型(250〜350字)
ブロック①:前職で変えた行動+数字(120字)
ブロック②:そこからFSのどこに関心が向いたか(80字)
ブロック③:貴社の商材/意思決定構造を踏まえて、なぜここか(100字)
ブロック③だけは毎回書き換えてください。ここを共通にすると、全社で同じ点数になります。
6. 落ちる志望動機の型5つ
| NG型 | 具体例 | なぜ落ちるか |
|---|---|---|
| 提案型 | 「深く入り込んだ提案がしたい」 | 全員が書く。工程を1つしか見ていない |
| 成長型 | 「若いうちから裁量を持って成長したい」 | 会社を手段として扱っている |
| 商材惚れ型 | 「サービスに感動しました」だけ | 顧客と数字の話がない |
| 数字自慢型 | 「達成率120%を3期連続」だけ | 理由が説明されていない |
| 逃避型 | 「テレアポ中心の営業から脱したい」 | 前職否定になっている |
特に注意すべきは数字自慢型です。達成率だけを並べると、面接で「なぜ達成できたか」を必ず掘られます。数字は1つに絞り、その理由を書くほうが強くなります。
7. 面接で必ず追撃される3問
7-1. 「インサイドセールスではなく、なぜフィールドセールスなんですか」
分業のある企業では必ず聞かれます。ISを下に見る答え方は絶対に避けてください。
「インサイドセールスの役割も重要だと理解しています。ただ、前職で失注の理由を振り返ると、相手企業の社内で合意が作れなかったケースが最も多かったので、その合意形成に直接関わる工程で力をつけたいと考えています」
7-2. 「1件あたりの単価が前職より大きくなりますが、対応できますか」
意図は、検討期間の長さへの耐性です。「頑張ります」ではなく、進め方で答えてください。
「単価が上がると検討に関わる人数と期間が増えると理解しています。前職でも金額の大きい案件ほど社内稟議で止まることが多かったので、初回で決裁手順と期限を確認し、稟議に必要な材料を先に渡す進め方をしていました。同じ考え方は、単価が上がっても有効だと考えています」
7-3. 「目標が未達のとき、何をしますか」
「行動量を増やす」で終えると、営業の面接では減点されます。
「まず、パイプラインのどの段階で落ちているかを確認します。商談数が足りないのか、商談化はしているが受注率が落ちているのかで打ち手が違うためです。受注率が落ちている場合は、失注案件の共通点を先に洗い出してから訪問数を増やす順序にします。順番を逆にすると、同じ理由の失注を量産するだけになるためです」
8. 職務経歴書との書き分け
| 書類 | 書くこと | 書かないこと |
|---|---|---|
| 職務経歴書 | 担当領域・顧客規模・商材単価・数字 | 感情、志望理由 |
| 志望動機 | 変えた行動、なぜこの会社か | 業務内容の羅列 |
| 自己PR | 実績1つの、判断と過程 | 複数実績の並列 |
職務経歴書には必ず「平均単価」と「担当社数」を入れてください。営業職の書類でここが抜けていると、規模感が伝わらず比較のしようがなくなります。書類全体の作り方は第二新卒の職務経歴書テンプレにまとめています。
9. よくある質問
営業未経験でもフィールドセールスに転職できますか
第二新卒であれば可能です。ただし「数字を追った経験」がまったくないと厳しくなります。売上でなくても、処理件数・稼働率・再来店率など、何らかの指標を見て動いた経験があれば材料になります。まったくない場合は、インサイドセールスから入って1〜2年でフィールドに上がるルートのほうが現実的です。
志望動機は何文字が適切ですか
Webフォームなら250〜350字、職務経歴書に書く場合は400字以内が目安です。長く書いても加点はありません。第5章の3ブロックが入っていれば300字前後に収まります。
「新規開拓と既存深耕、どちらがやりたいですか」と聞かれたら
求人票を読んで、実際の比率に寄せて答えてください。どちらかを否定する必要はありません。「新規で入口を作る難しさも、既存で継続的に成果を出す難しさも経験したいですが、まずは求人に記載のある◯◯の比率で経験を積みたい」という形で問題ありません。
前職の営業成績が振るわなかった場合、どう書きますか
成績ではなく、途中で何を変えたかを書いてください。「達成率は目標に届きませんでしたが、失注理由を分類してから商談の進め方を変え、下期は受注率が改善しました」という書き方であれば、伸びしろとして読まれます。成績を隠すより、変化を示すほうが安全です。
SaaS企業のフィールドセールスと、それ以外で志望動機は変わりますか
構造は同じですが、SaaSでは「契約後に使われるかどうか」まで視野に入っていると強いです。「受注して終わりではなく、使われる状態まで想定して条件を詰めたい」という一文が入るだけで、職種理解の深さが伝わります。SaaS業界そのものの選び方は営業からSaaS業界へ転職する完全ガイドを参照してください。
インセンティブ制度について、面接で聞いてもいいですか
聞いて構いませんが、逆質問の1問目には持ってこないでください。2問目以降であれば問題ありません。「評価制度と、インセンティブの支給条件について教えてください」という形で、評価制度とセットで聞くのが自然です。
転職回数が多い場合、志望動機でカバーできますか
志望動機単体ではカバーできません。ただし各社での退職理由と、志望動機のブロック①が一貫していればマイナスは減ります。整理の仕方は退職を悩む期間を最短化する3つの判断軸にまとめています。
複数社に応募するとき、どこまで使い回せますか
ブロック①②は使い回して構いません。ブロック③だけは必ず書き換えてください。商材名の差し替えだけでは見抜かれます。導入事例から拾った肩書きや課題の言葉を1つ入れるところまでやってください。
10. まとめ
フィールドセールスの志望動機は、熱意ではなく進め方を語れるかで決まります。
今夜やる3つのこと
① 前職で「やり方を変えたら結果が変わった」場面を1つ、行動レベルで3行書く
② 応募先の導入事例を2本読み、決定に関わった人の肩書きをメモする
③ 第5章の3ブロックに流し込んで300字にまとめる
①が出てくれば、残りは作業です。①がないまま書き始めると、何時間かけても「深く入り込んだ提案がしたい」に戻ってきます。
この先、読むべき記事
- インサイドセールスの志望動機|未経験・第二新卒の例文7パターンと落ちる型(分業のもう一方)
- SaaS営業の面接|第二新卒が聞かれる想定問答16と、評価される答え方(面接本番の対策)
- 営業からSaaS業界へ転職する完全ガイド|未経験から成長企業に入る5ステップ(業界選びから)
- 第二新卒の職務経歴書テンプレ|書類通過率を上げる10の改善ポイント(書類全体の作り方)
この記事を書いた人
木戸 悠介(きど ゆうすけ)/なぜキャリア?運営者。
23歳で上場企業子会社に新卒入社し、飲食・宿泊・レジャー領域のメディア広告営業を担当。25歳で第二新卒として障がい福祉領域のSaaS企業へ転職し、営業から営業企画へ職種を変えた経験を持つ。2ヶ月で10社に応募し2社から内定。現在は自分の会社を経営している。